傷痕

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乗り継ぎの度に山岸がいないかビクビクして、山岸に似たような背格好の人に怯えて、僕は何とか龍司さんのアパートの最寄り駅まで帰ってきた。 駅に着いても、アパートに帰る気にはならなかったけど…。 龍司さんにも合わせる顔がない…。そう思った。 帰れる場所もない…。 樹にも会えない…。 それに、身体の中が気持ち悪い…。 いっそ、次の電車が来たら、線路に飛び込んでしまおうか…。 そう思って電車を待っている時だった。 僕の肩を叩く人がいた。 心臓がドキドキして、息ができなくなった。 「巴?」 恐る恐る振り返ると、一番会いたくない相手がそこにいた。 「樹…」 樹の顔を見たら、一度は止まっていた涙が、再び溢れてきた。 「巴? 大丈夫ですか? 顔が真っ青です」 優しい樹の言葉に、僕は何も返す事ができなかった。 「巴…。わかりました。とりあえず、うちに行って休みましょう」 黙って樹についていって、タクシーで連れて行かれたのは樹の家だった。
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