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赦してくれ…
君の願いを叶えてあげられない事…、君を手放せない事…、君を苦しめている事…、君をこんなにも愛してしまった事……
本当なら、君の願いを叶え、その命を絶つ事で君を救ってあげられる。
苦しみも悲しみもない永遠の眠りを贈ってあげられたら…、そう思うのに…。
でもそんな事は最初から出来はしなかった。
俺の勝手なエゴで苦しめているとしても、君を殺せはしない。共に滅びる事さえも出来ない。君の魂は脆く、器を喪えば、すべては塵となるだけ。いや、塵さえ残りはしない。
魂の供給がある限り君は地上に縛りつけられるだろう。けれど、それを喪えば君の魂は粉々に砕け散り、生きた証すらも残らない。
それでも良い、だなんて儚く笑うけれど。
それなら他者の魂を狩り続ける事の方が俺にとっては何倍も良い。君はそれを嘆くけれど。
殺して欲しいと繰り返す君の言葉は、棘とななって俺の心を張り付けにして行くけれど、それがどんなに痛もうと、君を喪う痛みに比べれば大した問題でもないだろう。
俺の命なんて軽いけれど、君の命はこの世の何よりも重く尊い。俺にとって君だけが総てなんだ。あの日、俺に光をくれた君だけが……。
ただ君に恋し、ただ君が愛しくて、ただ傍にいたいだけなのに。
こんなにもそれが君を苦しめるなんて……。
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