序文

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そして、そのうらぶれからの再生の後に知った言葉を引用する。 「もっとひどいことになりえたのだ。」 (ねじまき鳥クロニクル第三部四十一章) その通りだ。僕は、まだ、終わっていないし、瀬戸際にも行かずに済んだ。間に合ったのだ。 この手記は、そんな僕のスケッチブックで未来の僕に向けて書かれている。もう何かを失わないために、その痛みを忘れないために。 もう、僕は何も失わないだろう。僕自身を摩滅してしまっても、帰る場所がちゃんとあることが分かったからだ。
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