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そしてその日、七月七日の七夕の夜。
天の川の架かる夜空の下、懐かしい友の声に言われるまま着いた小川のほとり。
アイツの言葉通り少し待っていると、聞こえてきたのはゴツイバイクの音。
それはどんどん近くなり、小川の向こう側で止まった音がした。
「ここなのか?」
聞こえてきた声に心臓が止まりそうになった。
じっと向こう側を見ると、近づいてくる足音。
月光に照らされている彼を見間違えるはずがなかった。
相手も俺に気付いているらしく、驚嘆の表情をしていた。たぶん俺も同じ顔だろう。
小川越しに俺たちは視線を合わせた。
俺は友に感謝の言葉を心に浮かべると、ずっと会いたかった彼の名を呼んだ。
「久し振りだな、クラウド」
「……レノ」
彼が、クラウドが俺の名を返事のように呼んだとき、小川の水が引いて人が渡れるだけの飛び石が姿を現した。
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