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「なぁ、レノ。俺、幸せになってもいいのか?」
「何言ってんだよ、と」
突如としたクラウドの言葉に、レノは驚きに目を見開いた。
「だって、俺…」
言いながら目を伏せる彼が映る窓ガラス。それを見ていれば、何が彼の気持ちを揺さ振っているのかレノにはわかった。
過去に失った命が、今も尚根強く彼の中にある。それは消えることは決してない。
クラウドがこうして弱さを見せるのは、決まってこんな雨の日だった。
「なぁ、クラウド」
「何?」
窓際に立ち、叩きつけるように激しい今日の雨を、じっと見続けているクラウドの隣へゆっくり歩いていき、その肩をそっと抱き寄せた。
「いくら梅雨でも窓際はやっぱ寒いな、と。でも…」
こうしてれば、寒くないな。
そう続けられたレノの言葉に、今度はクラウドが目を見開いた。でもその目はすぐに嬉しそうに細められ、レノの肩に頭を預ける。そんなクラウドを見ながら、顔のすぐ横にある金糸にレノは顎を乗せる。クラウドもレノの行為に文句を言うでもなく、ただされるがままになっていた。
「まだ寒いかな、と」
レノの問いかけにゆっくりとクラウドは首を横に振った。
「温かい」
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