想いが伝わるその時までは(シリアス)

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いつからだろう。 小さなすれ違いがひずみになったのは。 いつだったろう。 ひずみが割れて大きな溝になったのは。 いつからだったろう。 本当の気持ちを言わなくなったのは。 幸せに過ごしていたはずだった。 楽しい毎日が過ぎていたはずだった。 しかし、二人の仕事はまるっきり異なっているものて、ともにいられる時間は日を追うごとになくなっていき、二人の気持ちはいつしかすれ違っていた。 「レノ、また、その日も仕事?」 「…あぁ、すまないぞ、と。次……いつになるかな」 約束事が叶う日は少なく、記念日すらともに過ごせない。 「仕方ないさ、仕事なんだから」 「悪い、クラウド」 互いが互いを想っていることがわかっているからこそ、クラウドは苦しい。 互いが互いを想い過ぎていることがわかっているからこそ、レノは苦しい。 想っているだけ、行動に軽く示すだけで、口に出すことがなくなってしまった二人の愛情。 想う相手の心からの笑顔を最後に見たのは一体いつだったろう。今目を閉じると浮かぶのは、想う相手の今にも泣きそうな悲しそうな笑顔。 どちらも必死に時間を作っているというのに、中々休みは重ならない。
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