想いが伝わるその時までは(シリアス)

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愛はある。 ―――枯れていない。 信じている。 ―――疑いは無い。 でも、だからこそ苦しい。 想う気持ちが相手を、そして自分を縛る鎖になると、この時二人は初めて知った。 「レノ、気をつけて」 「あぁ、クラウド。お前も気をつけろよ。行ってくるぞ、と」 「行ってらっしゃい」 付き合い始めた頃は、レノがいつもふざけてクラウドにキスを送って仕事へ行っていた。しかしそれも、すれ違いがひずみに変わった頃、いつの間にか消えていた。 「苦しい……さびしいよ、レノ」 一人になった家の中、クラウドは床の上で膝を抱えた。 「苦しい……お前の笑顔を見たいぜ、クラウド」 一人玄関から家を見上げ、レノは固く拳を握り締めた。 終わりにすれば早いのに    離れることは出来なくて    決してそれは出来なくて 二人の想いは昔と変わらず    風に攫われ消えていく 『見ろよ、クラウド。ここ綺麗なんだぜ!』 『凄い…。レノが見つけたのか?』 『あぁ、昔仕事でな。お前と来られてよかったぞ、と』 『レノ』 『ん?』 『ありがとう』 交わされることのなくなった想いは 今も変わることなく二人の胸の内に在る いつか再び 想いを込めて伝えることの出来る日を待っている 一人呟かれる言葉は違う場所でありながら 同じ音を紡ぎだす 「クラウド…」 「レノ…」 「「今でも、愛してる」」 地に、床に、雫が落ちる音までが重なった……。 end ―――――――――……… これ作った時、凄くシリアスが書きたかったんですよね。 本当は破局を書こうとしたんですけど、なぜか破局というか喧嘩すらしていない状況。勝手に二人はどんどん動いていきました。 そうか、そんなに離れたくなかったのか…!(黙)
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