23人が本棚に入れています
本棚に追加
一言伝えられたらどんなに良いだろう
一言だけ
余計な言葉なんていらない
ただ一言だけ あの人に
「好き」
その一言だけ……
心に決めたこと。
今日はその決行の日。
本当は、彼が俺を好きなことを知ってる。だけど、伝えてくれたことなんてないから、恋人じゃない。
せいぜい、仲の良い“オトモダチ”止まり。
彼が俺に言うつもりがないことはなんとなく察してる。俺を困らせないためってわかってはいるけど、俺は彼を好きだから、言ってくれたら頷けるのに。でも、彼は俺の気持ちを知らないから仕方がない。
だから、俺からじゃないと駄目なんだ。
だから珍しく、今日は俺が彼を部屋に呼んだ。
「珍しいよな。お前から誘ってくれるなんて」
「良い酒が手に入ったから。一人で飲むほど味気ないものもないだろ?」
他愛ないことで笑い合って、二人でいられるこの空間が好きだ。でも、俺は今からコレを壊す。
壊して、もっと…。
「なぁ、レノ」
「何だ?」
酒が入って饒舌になってきた俺たち。気分もいい。
少しずつ、彼との距離を狭めていく。
今が良いチャンスだ。
「どうした、クラウド。酔ってきたのか、と」
彼に名前を呼ばれるだけで胸が高鳴る。こんなにも嬉しい。
もっともっと、彼に呼んで欲しい。
酒って本当に凄いと思う。
自分でも、普段の俺は口下手で素直に思いを言えないとわかってる。そんな俺が今、酔いに任せると何でも出来そうな感覚にいる。
「レノ…」
そして俺は目を閉じて、彼に口付けた。
軽いリップ音とともに離れて目を開けると、そこには想像通りの彼の驚いた顔。
「おまっ」
口を開こうとする彼の唇を指で押さえて、俺は微笑んだ。
「好き」
直後、抱き寄せられて口付けられる。
彼からの甘いキスが答えだった。
end
―――――――――………
テスト中に作った産物です。
突拍子に、クラウドからのこんなシチュエーションの告白が書きたくなって、衝動に任せて書きました(笑)
最初のコメントを投稿しよう!