その偶然は必然の始まり

3/8
前へ
/99ページ
次へ
「もしかしてお前、ここ通りたい?」 「は、はい」 急に問われてしどろもどろになりつつも、クラウドは赤髪のタークスにはっきりと言った。 「あー、残念だが、今ここは通行禁止だぞ、と」 「え?」 その言葉に、クラウドは思わず問い返してしまった。 「通行禁止…?」 「あぁ、ちょっとこの外で今ごたついててな。誰も通せないんだぞ、と」 赤髪のタークスは困ったように肩をすくめた。 「寮に行けるの、ここだけだったのに…」 残念そうにクラウドは言って、ふと後ろを見た。 「もしかして、みんながここにいるのも」 「あぁ、外が片付くまで待っててもらってるぞ、と」 赤髪のタークスは大きく伸びをしながら退屈そうに言った。 その言葉を聞いて待っているのは自分だけではないのだとわかり、クラウドは仕方ないとため息を吐き出した。 「お前、風呂上がりか?」 「え?」 振り返ってスキンヘッドのタークスを見た。 「髪が濡れているからな」 「あぁ……これは、シャワー浴びて来たんです」 「シャワー?」 赤髪のタークスがクラウドの言葉に首を傾げた。 「こんな時間まで訓練してた……わけねぇよな」 「自主トレ、してたんです」 「ほぉ、がんばるねぇ」 有りのままを言うと赤髪のタークスに感心されてしまい、クラウドの頬が軽く朱に染まる。そう言われて悪い気はしない。 そのままクラウドは、タークスの二人と話をしていた。 その最中に聞いた彼らの名は、赤髪のタークスがレノ、スキンヘッドのタークスがルードというらしい。 どれだけの時間話していたのかはわからないが、かなりの時間そうして話してしただろう。 話が盛り上がっていたその時、扉の向こうが呼応するかのように騒がしくなった。 「何だ?」
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加