その偶然は必然の始まり

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レノとルードが扉へと向き直り、訝しげに見やる。クラウドも二人の後ろから扉を見た。 「!」 突然扉が吹き飛び、爆風がビル内へと侵入した。 「っ!何なんだ?!ツォンさんとシスネはどうした!」 レノが爆風の中、仲間の名を叫ぶ。第二波が起こり、先ほど飛ばされた扉が再び飛ばされる。向かって来た扉に気付いたルードは紙一重でかわし、扉は粉塵の中背後へと向かった。 「ぅあっ!!」 しかし、背後から聞こえてきた苦痛の叫び。レノとルードは粉塵の中ハッと顔を合わせて背後を見た。 少しずつ治まっていく粉塵。開け放たれた出入口から入ってくる風の影響か、視界が開けるまでそう長くはかからなかった。 「クラウドっ!」 床に倒れ伏しているクラウドを見てレノは走り寄った。 ルードは一度扉のなくなった出入口を見るも、誰かが来そうな気配はないためレノに続き、クラウドのもとへと走る。 「おい、しっかりしろ!」 レノが抱き起こすと、うめき声を上げるクラウド。目を開く様子はない。 「あの扉が当たったのか」 ルードが苦々しげに言いながら、頭の怪我を見る。額に当たったのか、深く切れていた。多くの血が流れ、すでに床に血溜りが出来ている。 レノはもしもの時のために持っていた布をポケットから引っ張りだし、止血を始めた。 「ルード、他の奴らは?」 止血を終え、その体勢のまま周りを見回すと、他に怪我人がいないか確認する。 大量の粉塵に室内は汚れ、埃っぽいものの、特にこれと言って怪我をしている者はいないようだ。爆風に吹き飛ばされかけた者はいるようだが。 「大丈夫そうだな」 「あぁ」 ルードの言葉に頷くと、レノは再び腕の中にいるクラウドへと視線を戻した。
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