その偶然は必然の始まり

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痛むに呻いているクラウドの傷からは血が止まらない。止血をして少しはましになったが、あまり変わってはいなかった。 「このままだとちょっとヤバいな。かと言って、ツォンさんたちの方もわかんねぇし…」 他の一般兵に頼むという手もあるが、下手をすると先程の爆風に紛れて中へ敵が侵入してしまっている可能性だって捨てきれない。今、怪我をしているクラウドを自分たちから離すというのは危険な行為だった。 「治療が必要って言っても、回復のマテリアは持ってないし…」 かと言って放っておいて心配のない傷などでは決してない。周りを見ても一般兵がほとんどで、マテリアを持っている可能性は皆無に等しかった。 「レノ」 「………」 「レノ!」 「!何だ?いきなり大声出して、ビックリするぞ、と」 「………俺はずっと呼んでいた」 ルードに反抗するレノだが、返ってきた返答に言葉を詰まらせた。心なしか、ルードの視線が冷たいような気もする。 レノはいたたまれなかった。 「レノ、クラウドを連れていけ」 「は?お前、何言って…」 「このままだとマズイ。俺はここに残る。ツォンさんには言っておくから問題ない」 「……サンキュー、相棒」 「任せておけ」 レノは一度、ルードと拳を合わせた。そしてクラウドの傷に触らないよう両腕で抱え上げ、ビルの奥へと迎う。 医務室を目指して、レノは走った。 「軽い脳震盪です。脳への異常も見られません」 医者にそう言われ、クラウドに付き添ってどれほどの時が過ぎただろう。ベッドで眠るクラウドの頭には包帯が巻かれ、枕元には水が置いてある。 レノは椅子に座り、クラウドの手を握っていた。なぜそうしているのかと聞かれれば答えることは出来ない。しかし、なぜか今はこうしていたかった。こうして、クラウドの隣でいたかった。
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