初めてのダンジョン

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 アランは林檎をかじり1つ頷くと、遠い遠い北の島国を指差した。其処は地図全体で上部の中心の位置にある。 「うぇ……。改めて見るとやっぱ遠いな」 「海を渡って一直線に向かうのが一番近いが、長い船旅が必要だな」  2人には船を借りる当てもない。更に、途中で寄れる港も近くには無いため、とても高い航海の技術が必要だ。  アランがまた林檎をかじる。 「唯でさえ危険な船旅だ。強力なモンスターも出るだろうし、やはり此処は陸路で行くしかないな」  口の中に広がる酸味を味わいながら、アランは次に地図の南の方を指差した。遠回りだが陸続きで、海よりは安全だ。 「最終的には北東に行き、其処から船を使う。この距離なら俺達でも行けるだろう」 「じゃあ今のところの目標は、南の国“ガラパ”でいいのか?」 「いや。当面の目標は金集めだな」  アランは地図をリュックに仕舞うと、代わりに木の板を長方形に組み合わせ、内側に貝を通した無数の棒をはめた何かを出した。 「ったく、現実的だな……。て言うか、それ何?」 「算盤という、東洋の計算機らしい」 「何処で手に入れんだよ、そんな物……」 「中古屋で売ってた」  ぱちぱちと貝を動かし、生活費や必需品の費用の計算をするアラン。使い方も熟知しているらしい。 「……。野宿をするにしても、武器や防具をだけでかなりの額が要るな。一通り揃えるまで暫く時間がかかるだろう」 「はぁ!? 俺早く出発してぇんだけど!!」
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