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門番から許可を貰うと、巨大な鉄の門がゆっくりと開いていく。
外に住まうモンスターから街を守るために造られた硬い煉瓦の外壁。その外を今日初めて見るのだ。
「……っ!」
門の隙間から吹き抜ける風は新鮮で、その先に見える広大な草原はライラの期待を高まらせる。
「こ、これが……。シェルダンの外……!」
開ききった門の先、人の手が入り込んでない、自然に溢れた街の外。遮る建物がない空はいつもより広く見え、広大な草原が広がっていて、森や山が遠くにある。
それら全てを初めて見たライラの興奮は止まらなかった。
「よ、よしアラン! 早く行くぞっ!!」
「あぁ。門番よ、開門御苦労。では行ってくる」
「少年達よ、気を付けてな」
門番に頭を下げると、2人は外へ走り出した。
「うわ、すっげぇ広い景色! おっ、あっちの方に森があるぜアラン!!」
「落ち着け、俺達が行くのはコルラトだ。そっちではない」
「前々から気になってたけど、“やっぱ”外は広いし気持ち良いし最高だよな!」
ふと、ライラはアランが違和感を覚える言葉を発した。
「……? なんだライラ。前に外に出た事あるのか?」
「へ? 俺初めてだぞ?」
「いや、まるで“外は心地好い”と知ってた様な口調だったが……」
「はぁ? んな事より、とっととダンジョン行こうぜ!」
怪訝な顔をしているアランの腕を引っ張り、子供の様な好奇心で輝く瞳で彼を見詰めるライラ。
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