1108人が本棚に入れています
本棚に追加
「そ、そうだな」
ライラの気迫に圧され、アランは細かい事は気にしないと結論付けると、ダンジョン“コルラト”へと向かった。
シェルダンから30分程歩いた場所にある、屋根から床、そして足場まで覆い尽くす石で構成されたダンジョン。其処がダンジョン、コルラトだった。
「ダンジョンって遺跡みたいだな。あっ、石の間に草生えてる」
「遺跡と言うのも、あながち間違っていない。古代の人間が使わなくなった住処に、モンスターが住み着きダンジョンになった所も多々ある」
コルラトもその1つ。経緯は判らないが、かつては人が住み使っていた集落だという。
「よーし、それじゃ早速中に……」
「待て」
四角い形をした入口から、ダンジョン内に入ろうとしたライラの首根っこを、アランはむんずと掴んだ。
「何だよ! 入っちゃまずいのかよ!?」
「あのな、こういう入口には大抵門番が居る」
そう言うと、アランは杖を構えて石で造られた四角い入口に向けた。中は暗闇が広がっており、何も見えない。
「念には念をだ……」
赤みが掛かった風が渦を巻き、アランの杖先に集まる。
そして
――放て “鬼火”――
人魂の様な形をした炎の塊が瞬時に生まれ、入口へと放たれた。
「ギィィイィィィ!!」
同時に、耳が痛くなるほどの悲鳴が入口から響き渡る。
最初のコメントを投稿しよう!