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アランはライラの腰に挿された剣を一瞥した。
「何だかんだ言って、貴様は剣術を6年習ってきたんだ。剣士としてモンスターと戦うには充分だろう」
「あ~。ありゃ技術選択の時、一番楽そうだと思ったんだよなぁ」
6年前の懐かしい中等学園を思い出すライラ。高等学園の前、12歳から入るこの学園では高等学園まで学ぶ選択技術教育が存在する。
ライラは幾つもある技術の選択肢に、頭を唸ったのはよく覚えていた。
「筋肉馬鹿にはぴったりの技術だからな」
「おいコラ! 今聞き捨てならねぇ台詞が……!!」
「そして俺は魔術を6年習った。剣士と魔術師、バランス的には良いだろう」
ライラの発言を無視し、話を続けるアラン。ちなみに、先程のライラへ向けて放った水も魔術の1つだ。
「やらないか? 賞金稼ぎ」
「でもよぉ、賞金稼ぎなんて安定しねぇ職場じゃねぇか」
「おっ、珍しく賢い発言だな。だが考えが甘い」
アランはにやりと嫌な笑みを浮かべると、腰から足元程ある杖をライラに向けた。
「あのな、この街“シェルダン”はとても治安がいい。大抵の者が学園に通え、大学にも行ける」
「お、おう」
「そんな中で何処の馬の骨とも知らない高卒の孤児が、今からマトモな職に就けると思うか? 身元不詳なうえ、学歴は浅い。良い職に就ける可能性は低い」
「うっ……」
言葉に詰まるライラ。勿論、大学に入らなくとも普通に何らかの職に就く者は多勢いる。しかし寮を出た今から探すのは厳しい。
学年首席であるうえ、魔術という立派なスキルを持つアランなら、直ぐに良い職に就けるかもしれないが……。
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