2人の決意

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(問題は俺だよな……。剣術なんて誰でも出来るし、学歴なんて更に浅いし……)  そう考えると、ライラの就職は絶望的だ。 「しかし、賞金稼ぎなら話は別だ。モンスターを狩って部品を武器屋に売るもよし、道具屋に売るもよし。指名手配の奴なら、下手な街中の仕事より儲かる」  指名手配されるほど強力なモンスターを倒せるかは賭けに近いが、荒稼ぎしやすい仕事である。取り合えずその日その日ならば食べてはいけるだろう。 「そうか、それなら学歴とかなくて良いもんな!」  少し希望が見えてきたライラは拳を強く握りしめ、気合いを入れる。  ぶ~ん  ふと、目の前にハエの姿のモンスターが現れた。それが気になってライラは木刀を抜き、素早くハエの紫色の羽を切る。  羽がなくなって飛べなくなったハエのモンスターは地面に落ち、うねうねと10本の足と3つの口を動かしている。 「お、でかしたなライラ。こいつは“シャッガイ”じゃないか」 「ったく、何でモンスターが街に居るんだか」 「いくら警備が居るとして、こんな小さなモンスターは見逃してしまうだろ」  アランはそう言いながら、シャッガイの紫の羽を拾う。 「これは金になるな」 「へぇ、いくら?」 「確か……」  アランは何処で手に入れたのか、モンスター図鑑の様な物をナップザックから出しページをぺらぺらと捲る。  そんな物を入れてるから準備が遅いんだ。とライラは言いたくなったが、今は堪えた。
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