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そして、ひと言。
「5ゼル」
「安っ!!」
余りの安さに素早く突っ込みを入れたライラ。そんな金額ではパン1つさえ買えない。
「こんな小さい部品が高額な訳ないだろう。数も多い上、街に紛れ込んでるから捕獲しやすい。つまり需要が少ない」
「ぬぬぬ……! おいっ、もっといいモンスターいねぇのかよ!?」
ライラはアランから図鑑を奪うと、べらべらと乱暴にページを捲りまくる。
「……ん?」
暫くしてふと、高額な償金が掛けられているページが目に止まった。
「……魔王?」
名称は“魔王”。挿絵は無く、遠い遠い北の国に住む、大都市1つを消した魔人としか記述されてない。しかし掛けられた償金は、一生遊んで暮らせる程の高額なものだった。
「魔王か、そいつは謎が多くてな。世界征服を企んでいるとか言われているが……。どうだかな」
だがアラン曰く、街1つ滅ぼしたのは本当らしい。するとライラは唐突に目を輝かせ、
「よし決めたっ! 俺はこいつを倒す!!」
と宣言した。
「随分無謀な事を言うな」
「無謀だろうが何だろうが、目標は高い方がいいだろ!」
ライラはまだ見ぬ強敵に対して、既に強い決意を抱いていた。
「……そうか。なら俺も、その無謀な行為に付き合ってやるか」
「へっ?」
まさかアランが承諾するとは思っていなかったライラは、間の抜けた声を発した。
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