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「元々俺が持ち掛けた話だ、付き合ってやる。それに何となく、貴様はそう言うと感じていたからな」
「やっぱお見通しかよ……」
「何年ダチやってると思ってるんだ」
物心がない頃からずっと友人であり合った、無二の親友。それを確かめる様な臭い台詞に、ライラは自然と笑みが零れる。
「何か、わくわくしてきた……!」
誰よりも親しい2人で、まだ見ぬ世界で、まだ見ぬ魔王を倒しに行く。未知への好奇心に加え、その先で恐らく名誉は勿論、地位も金も手に入れる事ができるだろう。
それを思うだけで、ライラの胸は高鳴った。
「魔王を倒すには、北の国に行かなければいけない。決して楽とは言えないぞ?」
「はっ、簡単に達成してたまるかよ!」
目標は簡単よりも難関な方が興奮する物である。
ライラはくるりと北の方角を向くと、大きな声で吼えた。
――待ってろよ魔王!
いつか絶対、俺が倒してやるからな!!――
ずっとずっと遠くに居る魔王に、届く様に……。
「気合いを入れるのはいいが、その前に今日の宿代稼げ。宿は安くて300ゼル、シャッガイの羽60匹分だ」
「うわきっつ!」
魔王への道のりは、まだまだ遠い。
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