どうということはない

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「てんちょう」 と雑音が響いた。 それはその場にそぐわない、不快なノイズのように。 夢の中、枕元で鳴るアラームの音が、徐々に遠くから迫って来るのと同じだ。 「てんちょう」 もう一度響いた。 先程より大きなノイズで、架空のハナに覆い被さる。 「てんちょう」 三度響く。 そこでようやく、それが「店長」であることに、仙太郎は気付いた。 呼ばれているのは自分だ。 さらに、場に沿ってないのも自分だった。 今は仕事中であり、妄想を楽しむ時間ではない。
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