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悩みの殆どが、考えても解決するようなものではなかった。
例えば、家計事情や人間関係など。
「お金がほしい」と思ったところで、お金が空から降ってくるわけではないし、「あの人嫌いだな、関わりたくないな」と、思ったところで、その人間が消えていなくなるわけではない。
だからいつも、悩み半ばにして、携帯を開いた。
何かに集中していれば、少なくともその時間は嫌なことを考えずに済んだ。
風呂から上がり、コーヒーと煙草を傍らに携帯を開く。
これが、恵の小さな日課だった。
携帯のディスプレイに目を落とすと、『新着メール一件』の文字が目についた。
すぐに携帯を操作し、メールボックスを開いた。
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