愛してるよ、嘘つき【米英】

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純粋に、うれしい。 子供の頃とは違う。ちゃんと、イギリスは俺を頼ってくれるようになった。 仕事のストレスも一気に吹き飛ぶ。 「俺を頼ってくれて、有り難うMrs.England」 『女扱いすんなばーか、アメリカ以外に頼るやつがいねぇだけだよ…ていうか、今はアーサーだ』 「………あ」 ぱっと辺りを見渡すと、ジム達がニヤニヤしている。聞いてたな、悪趣味な人達だ。まったく。 「待ってて、すぐに迎えに行く」 『ん、分かった…』 「じゃあ皆、そういう訳で俺は彼女を迎えに行ってくるよ」 「ったく、羨ましいなぁ若者!」 「いってらっしゃい、アル。彼女さんによろしくね」 「うん!じゃあね!」 イギリスに会いたい。 抱きしめて、馬鹿みたいにキスをして、ベッドで愛し合って。声だけじゃ物足りないからさ。 考えるだけで足が速くなる。会いたい、会いたい、会いたい。そのためにも、早くタクシーでも呼ばなくては。 「…あれ?」 携帯が、通話中になっている。ナンバーが映ってない。でも、さっき電話を切った記憶がない。 まさか―――! 「っご、ごめん!イギリス!」 『…ざけんな、死ね、馬鹿、ほっときやがって』 「ごめん!ごめん、イギリス!」 ああ、彼は人一倍淋しがり屋なのに!何馬鹿なことをしてしまったんだろう! 『馬鹿馬鹿馬鹿…ばかっ…』 だけど、それにしてもどうして 「イギリス、泣いてるの?」 『っ、な、泣いてなんかねぇよ!ばかぁ!』 いや、絶対泣いてる。鼻啜ってるし、涙声だ。 …もしかして。 「…そんなに、寂しかった?」 『淋しくなんか…っ!』 嘘つき。 俺は 「俺は、寂しかったよ」 君に会えなくて。 「イギリスに会えなくて、寂しかった」 『……アメリカ…』 「だから、今すぐヘリにでも乗って会いに行きたい」 まあそれは市街地だから無理なんだけど。 でもそれくらいの気持ちなんだ。 「イギリス」 『……お、…おれは…』 「うん」 『…あい、たい……』 「うん」 『会いたい…アメリカに…』 「うん、すぐに会えるよ」 『ずっ、と…ずっと会いたかった…』 「うん、待っててねイギリス」 すぐに飛んで行って、 君が泣く暇も与えないくらいにキスしてあげる! 「愛してるよ、嘘つきなイギリス!」 (俺に会いたいから、フライトの時刻を変えたんでしょ?)  
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