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(…やばい、相当キてるなこれ……)
うまく回らない頭で、必死に考える。
体が熱い、なんでだ。まだ3、4杯しか飲んでない。
(そんなに強い酒だったか…?)
くらくらする。
思い出せ。なんでこんなことになった?
「あれ?イギリス君大丈夫?」
畜生、訳分かんねぇ――
確か、誘ったのはロシアだ。
「イギリス君♪」
「ん?なんだロシア?」
「うん、今から僕と飲みに行かない?」
「え?あー…まあ、別に…用事は無いからいいが…」
「イギリス君ー歯切れ悪いね、僕と行くの嫌?」
「いや違うんだ、その…今日はそんなに金持って来て無くて…」
「なぁんだ!そんな事気にしなくていいのにー。僕奢るよ♪」
「いや、なんか悪いし…」
「いいからいいから!僕だって自分のお金じゃないしね♪」
「はぁ!?」
「さっきお金貰ったんだー♪だから安心して!さ、行こう!」
やたら機嫌が良さそうなロシアが、イギリスの手を掴み引っ張って行ったのだ。
別に酒は嫌いじゃないし、おごってくれるって言うから悪い気はしなかった。
それにロシアとはそこまで飲みに行ったこと無かったから、気になったのも事実で。
ロシアが頼む酒を飲みまくっていたんだ。
(ああ…そういやウォッカって度数高いんだっけ…?)
の割に、なんでこんなに体が熱いんだ?
しかも、じわりじわりと下半身に熱が集まる。
グラスを持つのも、正直つらい。
(このままじゃ、まずい…)
変な醜態を曝す前に帰らなければ。
隣に座るロシアを見れば、ニコニコしながらこちらを見ていた。
「…?」
「イギリス君、顔赤いよ?大丈夫?」
ロシアが微笑みながら、イギリスの頬に触れた。
それは、はたから見ればイギリスの様子を心配したロシアの、善意ある普通の行為だったのに。
「っ、ひぁ!」
ぞくり、と触れられた箇所から甘い痺れが身体を突き抜けた。それにびっくりしただけ、それだけなのに変な声が出てしまった。
なんだ今の。
意味分かんねぇ。
帰ろう、そうしよう。うん。
「悪いロシア、俺、もうかえ――」
そう言って立ち上がろうとした、のに。ガタン!と大きな音を立てて、俺は倒れた。
あれ、椅子、椅子はどこだ、待ってくれ、転んだわけじゃなくて。
(…腰に、力が入らない…!?)
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