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「ちょっとイギリス君、大丈夫?」
ごめん、大丈夫じゃない。ヤバイってコレ。
足が、がくがくする。腰に力が入らない。身体、熱い。
「…っは……ぁ…」
「もーしょうがないなぁ」
ロシアが大きなため息をついて、バーテンダーに金を渡している。本当に奢りだったんだアレ。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。早くこの熱をどうにかしないと。今誘われたら、俺は多分速効でYESって言う。
でも駄目だ。俺にはアメリカがいる。そんなことしたら、アメリカを傷つけてしまうし、自分のプライドもズタボロになるに決まってる。
「イギリス君、立てないの?」
「…ん…」
今の俺には頷くだけで精一杯だ。だから、頼むから変な事しないでくれ。
そう願っていたのに。
「よいしょ、っと」
「――っっう、ぁ…!」
ロシアが俺をひょいと持ち上げた。背に、革手袋が当たって、また体が痺れる。
膝の裏にもロシアの革手袋が当たってる。ヤバイ、ヤバイって。そこ、びりびり来る。
しかし、そんな俺には気がつかないのかロシアはバーを出て、直結しているホテルの方へ向かう。
「ね、イギリス君。身体変なんでしょ?」
「…え、ぁ…?」
なんでロシアが俺の身体の事分かるんだ。そんなに俺は分かりやすくらい顔に出てたのか?
変わらずに歩き続けるロシアだが、ここはもうホテル側だから、誰かに会う可能性が高い。
髭とかに会ったら絶対笑われる。
ていうか、そんなことより。
「…こっち、俺の部屋の方じゃねぇ、んだけど」
「うん、そうだねーでもこっちなんだぁ」
「…はあ?、ぅ…」
「実はーさっき飲んだお酒にね、コレ入れたの♪」
膝を使って器用に俺を支え、片手をポケットに入れてロシアが出したものは、小さな瓶。
それを俺に渡して、また抱え直し、歩き始める。
いまいちぱっとしない頭で、瓶のラベルを読む。
…は?
「…媚、薬…?」
「そう♪しかも僕の家のやつだから強いよー」
「っな、てめっ…!」
「でも安心してー僕は君に興味無いから!イギリス君にコレ飲ませてくれって頼まれたんだぁー」
「だから、金貰った、って」
なんか、歩いて揺れるだけでも、感じるようになってきた。
「そうそう、よく覚えてたね!ちなみに、彼は僕の薬も買ったんだよ」
「っ、ん…て、いうか、誰、ぁ…が」
「んー?もうちょっとで着くよ♪」
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