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もうちょっとって、そこ突き当たりだし。曲がったら、ロシアとアイツの部屋だろう?
いや、待て、信じたくない。
それ以上行くな。
だって、あいつがこんなことする必要ないじゃないか。
嫌だ、いや、駄目、待って。
「ロシア、待っ、て…」
「残念でした♪」
突き当たりを曲がったら、そこに一人、壁にもたれてる奴がいた。いかにも、待ってましたとでも言うように。
「やあ、ロシア」
「お待たせー、アメリカ君」
「な、ん…で…」
突き当たりを曲がったら、確かにロシアとアメリカの部屋しかない。
でも媚薬を飲ませろとロシアに頼んだのがアメリカ?
嘘だろう。なんで?
「イギリス君って軽いんだね、はいパス」
「どうも…っと、あそこのウォッカは美味かっただろ?」
「そうだね、君の家にあんなバーがあるとは思わなかったよ」
「……っ、ぁ……、か…」
「まあ、あの店はフランスから出店してきたから、正確には俺の家のじゃないんだけどね」
「…、ぁ、め…っか…」
「じゃあ、イギリス君よろしくね」
「ああ、礼を言うのは嫌だけど、一応Thanks」
「じゃあねー」
「…アメ、リカッ!」
ロシアの足音が遠ざかる。俺がアメリカを呼んだのと、アメリカが部屋の方に体を反転させたのは同時だった。
「どうしたんだい、イギリス」
どうしよう、どうすればいいんだ?
だって、こんな風になったのはアメリカが望んだからだ。
アメリカが触れている箇所がどうしようもなく、熱くて、ぴりぴりして、むず痒い。
「おろ、…せ…!」
「どうして?どうせ君、一人じゃ歩けないんだろう?」
「何でも、いいからっ!」
「やだよ」
アメリカが部屋のキーロックを解除して中に入る。ご丁寧に鍵も掛けて。
「やだ…!帰るっ離せ!」
アメリカの胸板をぐいぐい押しても、今の俺の微力じゃアメリカは気にも止めない。俺を抱えたまま、ずんずんと奥に入ってベッドルームに到着した。
そしてアメリカは微笑みながら、ベッドにイギリスを放り投げた。
「っ、わぁ!?」
「いやぁ、媚薬ってどんなものなのかなーって思ったんだけど、面白いね」
「…は、ぁ?」
冷笑とも言えるような笑みを浮かべ、アメリカはベッドルームのドアを閉め、静かに壁にもたれた。
腕を組んで、ただ静かにイギリスを傍観する。
その視線に不覚にもドキリとして、ピリ、と甘い痺れが走った。
「もうそろそろ、キてるんじゃない?」
「…っ」
ああ、まったくその通りだ!
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