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「馬鹿ぁ!」
「ちょ、イギリス!」
泣きながら廊下を駆け抜けて行くイギリスの背に、手を伸ばしてももう遅い。イギリスってなんであんなに足が早いんだよ!
もう、いつも喧嘩ばかりしてしまう。
望んでないのに。イギリス、俺が君を怒らせて楽しんでると思うのかい?
(まあ実際には可愛いんだけどね)
怒ると涙目になるところとか、顔がかーって赤くなるところとか。 可愛くてしょうがないよ!!
指先だって綺麗だし、彼の手から造られる薔薇はそれはもう見事さ!彼が煎れてくれた紅茶は美味しくて、綺麗だし、もう世界一だね!
まあそんなこと。
(死んでも言わないけどね)
でも喧嘩ばかりもやはりつまらない。料理にだってスパイスが効き過ぎていたらシュガーを足すだろう?
もう一度彼と甘い時間というのを過ごしてみたい。
でもきっと彼にとって俺との甘い時間は、俺が幼かった頃なんだろうなぁ。
あの頃の俺にはイギリスしかいなくて、ただひたすらにイギリスを愛していた。
そんな俺に、イギリスは愛情を注いでくれた。
それはもう、カップから溢れ出る紅茶のように。
溢れ続けた紅茶は、火傷をさせるかのように牙を向いてしまった。
もういらないよ、って言いたかっただけだ。
もう、十分だって。
なんで、うまくいかないんだろう。
なんで、通じないんだろう。
綺麗に、食い違ってしまう。
パズルのように綺麗には組み合わない。
そんな俺達って音楽で例えたら
(不協和音みたいじゃない?)
「喋る言葉は同じなのにね」
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