願いはただ【米英】

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政略結婚ってのはよくあるものらしい。物語にもよく出てくるし、日本も昔には多かったようだ。 でも、国が結婚するってどんな感じなんだろう。 考えていた時期もあったけど。やっぱり併合?そんなこと考えていたのに、結果は案外簡単なものだった。 「…国際援助のため、ねー」 「嫌かもしれないが我慢してくれ。俺もできる限り、早く…ッ…」 「ああ、もうしゃべんなくていいよ。体調最悪なんでしょ?寝てなって」 「…すまない…」 青白い顔をして、俺のベッドで寝るイギリス。は今や俺の…妻? 英国の経済不況は半端じゃないくらい、アーサーの身体に表れていた。もともと白く、軟弱な身体なのに今はもっと痩せてしまっている。 嫁入りとでも言うかのように、英国政府はアーサーを俺の家に送り付けてきた。 まあ、俺も援助の代わりにアーサーくらい寄越せー!くらい言うつもりだったけどね。 英国はなくならない。 でも、弱っている国に居たって病状が良くなるわけじゃないから、ただ元気な国にいて調子が戻れば、経済も回復するんじゃないか、って考えただけかもしれないけど。 なんとなく指輪はどうする?とかおどけて聞いてみれば、プラチナが良いとか言ってきた。意外と高いな、イギリスめ。 「鉄は、妖精達が嫌うんだ…」 「まーたお得意の幻覚かい?米国には妖精なんていないんだぞ!」 「……ああ、そうか…米国に居る間は、…あいつ等に会えないのか…」 「………」 あ、また悲しそうな眼をした。俺がいるからいいじゃないか!なんて言ってみたいけど。 (イギリスはどうせまだ、俺のこと弟とでも思ってんだろうなぁ) 愛がある結婚じゃない。第一に男同士だし、俺はイギリスが好きだけど、彼にとっては俺とは元兄弟という関係なんだろう。こっちはもう恋情に変わってるってのに。 イギリスが自分のベッドに寝ているだけで、馬乗りになりたい衝動を抑えるのに必至だ。 密室に二人きりっていうシチュエーションにも大変興奮する。弱ったイギリスはありえないくらい色香がすごい。今は熱が出てないことに少しホッとする。 「指輪、買ってきてあげようか?」 「…え…?」 多分イギリスはさっきのは御遊びだとでも思ったんだろう。 でも、俺にとっては本気だった。 つながりは、目に見えるほうが良い。
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