願いはただ【米英】

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「…プラチナ、買ってくるよ。ちゃんと」 「でも、」 「俺は、今此処に居る君を……大切にしてあげたい」 「……、え…」 「つまり、君を奥さんっぽく扱ってあげるんだぞ!」 「っな、てめ…ッ…!」 「さあさあ、とにかく、寝てるんだぞ!俺は買い物行ってくるからね!」 そう言って、俺は部屋を後にする。 パタン。ゆっくり扉を閉めた。 指を口元に持っていくと、微かに唇が震えてる。 (俺、今、なんか変なこと、言いそうに、なった…!?) 大丈夫か、俺。 変に早まったら駄目だ。落ち着け。タイミングを見極めろ。 一呼吸置いて、ゆっくり歩き出す。 夢のようだ。 ざわざわとした黒い独占欲が体の中を巡る。 イギリスが、俺の所にいる。 イギリスに、キスしたい。 イギリスを、犯したい。 イギリスを、帰したくない。 そんなことばかり、考えている。イギリスのことばかり。 イギリスに愛されたい。もう一度。別の愛情で。 「……はぁ…」 愛してる。愛してる。愛してる。 愛してほしい。愛してほしい。愛して。愛してよ。 イギリスが此処にいるのに、こんな傲慢な願いを持っているんだろう。 此処にいてくれるだけで、いいじゃないか。 (求めるな、これ以上は) 彼を傷つけるものは許さない。 俺が、今この関係を壊したら、また彼は泣くのだ。 友人、とも元兄弟とも取れない、ぐらぐらとした関係。 イギリスは今も、俺のことが好きなんだろう。 俺だって、好きなのに。 伝えたら、どうなるか分からない。 「…くそ…」 好きなのに。 好き、なのに。  
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