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いつからだろう。
自分は、こんなに歪んでいる、と気付いたのは。
薄暗い部屋に、月明かりに輝く金糸の髪。美しかったエメラルドは、布に遮られて見えない。
首に繋がっている鎖は、窓のレールに引っ掛けてある。手首には、傷が付いちゃいけないから布で被せてから鎖で拘束しておいた。
「…イギリス」
「………ァ…、メリカ…?」
「ご飯、持って来たよ」
「…いら、ない…早く……俺を帰してくれ…」
「やだね」
イギリスを監禁して、5日目。
そろそろ、イギリスの上司が動くかもしれないとは思うものの、彼をここから逃がしたくない。
俺はイギリスが欲しくて、欲しくてしょうがなかった。
でもイギリスという領土が欲しいわけじゃない、彼が、イギリスだけが欲しい。
なのに、彼は分かってくれない。
「…俺が欲しいなら、植民地にでもすればいいじゃねぇか」
どうして?
何故この気持ちが伝わらない?
頭に血が上る。
「違うよっ!何度言えば分かるんだっ!!」
思わず、イギリスの真横を殴った。いきなり耳元で大きな音がしたからびっくりしたんだろう、イギリスの身体が震え上がった。
目を塞がれるというのは、イギリスにとっては恐怖感を倍増させるものかもしれない。
「俺が欲しいのは、君だよ!!」
どうして伝わらないの?
「い、いやだっ…!…ん、ぅっ!」
口を塞いで、貪るように口内を荒らす。
逃げるように顔を引くイギリスをどこまでも追い詰めて、息をする暇なんて与えない。
「……っ…!」
手首の鎖がじゃらじゃらとうるさい、いちいちカンに障る。
なんで、こんなことしてるんだろう。
「…っや…だ…!っは…ぁ…っ」
ねぇ、イギリス。
どうしたの?
いつもみたいに、口うるさく反抗してよ。
なんで、何も言ってくれないの?
「……っ…」
「イギリス、何か言ってよ」
「……俺を、帰してくれ…」
「…どうして?」
彼が何を考えているかわからない。
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