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「はい」
返答は短く堅い。
仰々しい態度もすごく嫌で仕方なかったが、そんな状況を終わらせるためにも少し速い動作で手を伸ばした。あれほど触れてみたかった物なのに、気付けば指先は小刻みに震えている。
そんな自分を叱責して、雪は柄をにぎった。
「!」
握りしめた瞬間、指先から津波が押し寄せた。猛り狂う、波。家を、人を、街を。壊しては押し流す大波。しかもこの波は、氷のような温度で。
それによって、全身が一気に冷える。指先から剣に血液が流れ、そこで液体窒素になった血が、再び体内に返ってくる。そんな感覚。
身体が凍り付かないのが不思議なくらいだった。流れ込む何かが多すぎて、圧倒される。
「―?!」
始まりと同じように、それは突然終わった。
肩で息をして、改めてその剣を見る。不思議なことはすでに慣れっこだったので、今のことについて、譲葉に聞いてみることはしなかった。
「ゆずり…」
「どうか、そのままお聞きください」
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