第三章

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 「それで」  雪は小さくため息を落とす。  「あたしが聞きたいのは、さっきのは何かってことなんだけど」  おや、と譲葉は眉を上げた。  「そのまんまの意味だよ」  雪はさらに首を傾げる。それに対して彼女は笑った。  「ほんとにそのまんま。うちは今ここに、貴方への忠誠を誓った」  雪はぴくんと顔を上げた。  「魂の誓いだ」  雪の、剣を持っていない方の手を、膝をついたまま優雅な仕草でとって、神々しいものを愛でるように目を閉じ、その手を自分の頬にあてがった。手のひらに感じるその頬は、暖かく艶やかだ。  「永続不破の誓いだ」  囁くように言って、ふっとまぶたをあげる。  「…わかるかな」  言うと、彼女はひどく優雅な仕草ですらりと立ち上がった。
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