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「もっと分かんない…」
雪が細い首をうなだれさせると、しゃんと軽い音を立てて、握った剣についた飾り房がなった。それに気づいて顔を上げる。
「これ……返す」
「いや、いいんだ」
雪はぽかんと譲葉を見る。
「いいって、どうして」
うーん、と譲葉は困ったように笑う。
「―…それが雪の物だから」
雪は大きく目を見開いた。
「どういう―…まさか」
譲葉は穏やかな笑いを浮かべる。しかしそれは、真実の表情を覆い隠すための、仮面の笑顔。
「やっぱり、知ってるんだ。あたしが誰だか、わかるんでしょう」
「だとしても、関係ないよ。雪が思い出せなければ」
そんな、と雪が抗議する間もなく、譲葉は言う。
「大丈夫。そのうち、嫌でも思い出すさ」
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