第三章

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 「何それ!これが何かは、見れば分かるってば!」  鞘と柄の間に僅かな隙間でもないものかと爪をたててみるが、無駄な努力だった。髪の毛一本分の隙間もありはしない。  「でも、抜けなければ剣ではないのも確かかな」  「さっき使ってた!あたし見たもん。譲葉が抜けないようにしたんでしょ」  「違うって」  譲葉は困ったように笑う。  「今の君じゃあ、抜けないらしい。奴がすねてるようだから」  雪はぴたりと動きを止め、風に髪をそよがせた。肩にずしりとくる重さの剣を見て、もう一度譲葉を見る。  「奴って、これのことなの?」  「あたり」  いわれのない差別を受けた雪は、鞘の先端を少し強めに床に打ちつけた。  「ありえない、もう」  譲葉は薄く笑ってそれを見る。  「いっつもあたしはよそ者扱い」  「それは」  「違わない」  譲葉はちょっと焦ったような声を出したが、雪と目が合うと破顔した。  「すねないでよ雪」  雪はふいとそっぽを向いた。
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