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「まあ、何ですって?私が、我が儘?」
言うなり弥生は顔をしかめた。
「何を今更、わかりきったことを、と言いたいんだろう?弥生。その気持ちは、痛いほどわかるさ」
茶化すように譲葉が言う。妙に、空気が乾燥し始めた。パチッ、と視界のどこかで大きな静電気が起こった。
「ねえ」
と、雪は口を挟んだ。
「そろそろ、降りない?」
ここの生徒同士の諍いは、ろくなことにならない、と身にしみて分かっていた雪は、危険信号が点滅し始めたのを悟ってそう言った。
「授業、始まっちゃう」
初めこそ目を見開いていた二人だが、ちょっともたもたと顔を見合わせてから、雪に向かってはにかんだように笑った。
「気を使わせたみたいだ」
「ほんとね」
「ううん、そんなこと…」
頬を赤くさせて俯くと、それすらも愛おしいといいたげに二人は優しげに笑う。
「じゃ、いこうかね」
言いながら譲葉はかごに手を伸ばす。それは、四方に伸びる枝にひもをくくり、ちょうど胸程の高さに垂らしてある、木の蔦で編んだようなものだった。
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