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その中には、手のひら大の高級そうな箱が一つ置いてあったのが見えたが、譲葉は尋常でない速さでそれを掴むと、制服の内ポケットに突っ込んだ。
「何なの?」
「預かり物」
譲葉はそう言ってウインクした。
「雪に紹介したい人は、まだ沢山いるんだ」
さりげなく話の観点をすり替えられて、雪は思わずため息をつく。
「…そうなの」
今回はあえて、問いただすことはしなかった。
「―…ここ、すごいね。二人が作ったの?」
今更ながら、この秘密基地は凄い。この丸太一つをここまで上げるにも、かなりの労力が要ったろう。
「うん。うちらと、真澄と、もう一人で。このベッドは太凰のために後から作ったんだ」
譲葉がもう一人、と言ったとき、弥生の視線が彼女のポケットのあたりを見たことから、預かり物の送り主がそのもう一人、なのだろうと直感した。
「居心地がいいでしょ。ここのブランコは、うちと真澄の力作なんだ」
驚いて指されたほうをみる。―ブランコだ。しかし、スリルはジェットコースター並みの。それは、床のあるぎりぎりの所に下がっており、こげば往復の間の半分は体が宙に投げ出される。地上十数メートルの場所で。
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