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―沈黙を了承ととったらしい。カーテンが軽い音と共に開き、入り込んだ西日に一瞬視力を奪われた。
これも作戦だろうか。眩しさに目が慣れないうちに、隠した爪で引き裂くための―…。
しかし、違ったようだ。
「ああ、ごめん」
心得たように、すぐにカーテンが閉まる。何度かまばたきをして、ようやく安堵のため息をつく。
―…人間だ。
「顔色はいいみたいだね」
ベッドの脇の机に花瓶を置きながら少年が言った。
その姿を凝視する視線を知ってか知らずか、少年はのんきな足取りで歩く。
「ん?」
初めて彼が真正面からこちらを見た。
―…雪は激しく瞬いた。
確かに背格好からして、すらっとしていたし、声も程よく低く、耳になじんだ。見ず知らずの自分の世話をしてくれるくらいだから、人柄も良いのだろう。
それらをひっくるめて、これほどの美少年はいない。
青く見えるほどの白い肌はきめ細やかで、黒色の髪はくせっ毛。襟足にかかる程度に伸ばしてある。赤銅色の瞳は長いまつげに縁取られ、いたずらっぽい笑みをたたえていた。
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