第二章

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 「起きられる?君が運び込まれてから、1日たったよ」  雪は目を見開いた。  「そんなに…―」  声を出すと、何を言ってるのかも分からないほどしわがれた声が出た。  「っ―…」  にわかに赤くなる雪を見て、少年は屈託なく笑う。馬鹿にした風でも、慰める風でもなくて、それがなんだか心地よかった。  「なにか食べれる?うーん、水分をとった方がいいかな。お茶は飲める?水の方がいい?ポカリもあるけど…」  足下にある袋をベッドの上にまける。500ミリリットルのペットボトルがごとごと転がり落ちた。  「お好きな物をどーぞ」  「…ありがとう」  やはり声はがらがらだったが、彼はしっかり聞き取ってくれた。  「どういたしまして」  雪がお茶のボトルに手を伸ばしかけると、少年が横からそれをついと持ち上げた。  「………」  意地悪をされているのだと思い、声を上げようと腹に力を入れたが、彼は軽い力でキャップをひねり、机の上のマグカップに、とくとくとそれを注ぐ。鼻歌を歌いながら。  「ん?」  仕舞にはストローまでさして、雪の手元にあてがってくれた。  「……ありがとう」  …申し訳なさと有り難さで、雪は1人赤面した。  一口すする。味はよく分からなかったが、乾いた舌に冷たさが染み入る。  雪は、ほっと息をついた。  すると、  「――熱はどう?」  いきなり、少し筋張った男の子らしい腕が伸びる。とっさに身をすくめると、少年は照れたように笑った。  「ごめん。いいかな、さわっても」  なんとなく落ち着かない気分ではあったが、雪は縦に首をふる。  少年は柔らかく笑って、そっと雪の額に触れた。  「…ああ」  そっと手がはなれる。そよ風に頬をなでられたような、不思議な感覚がした。  「熱も下がったみたいだ」  彼はにこりと笑うと、今度はしゃがみ、また新しい袋を取り出した。  
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