第二章

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 「え、なんなの?」  「ううん、何でもないの…。真澄君の名前もかっこいいね」  笑いが止まらなくてそのままにしていると、真澄もまた笑い出した。  「―…あ、そうだ。着替えてもらわないと」  ぱん、と手をたたいて真澄は言う。  「え?」  「せ、い、ふ、く!ここがどこだか分かってる?」  「……漠然と」  「私立白銀学院」  呆れた風に真澄が肩を落とす。  「そうか、まだレクリエーションもしてないんだ。何の説明もされてないんだね。全校が、すごい潜在能力をもった転校生に、興味津々なのに」  雪は目を見開いた。  「転校生?!」  「そう。君は今日付けで私立白銀学院中等部3年B組の生徒だよ。お母さんは事情を分かっていたようだったと聞いたけど」  母さんが?雪は目をまるくした。事情とは何だろう。―…会いに来てはくれないのだろうか。  学校だって、修学旅行の最中に生徒が5人も消えて、大騒ぎだったのではないか。  様々な考えが、いまさら津波のように押し寄せる。  「この学園は、究極の一芸入学学校なんだ」  脳裏に様々な形が浮かんでは消える。博物館、海、銀の狒狒、身体が羽でおおわれた女―…。  「あとで詳しい説明があると思うから、僕からは簡単にしか言わない」  ―そうだ。こんなに和やかであって良いはずがないのだ。  私は、何故、ここにいる。悪夢は終わっていないだろう。  「この学校は、選ばれたもののための学校。訓練所」  「神々の生まれ変わりのための学校なんだよ」 `
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