789人が本棚に入れています
本棚に追加
/449ページ
「え、なんなの?」
「ううん、何でもないの…。真澄君の名前もかっこいいね」
笑いが止まらなくてそのままにしていると、真澄もまた笑い出した。
「―…あ、そうだ。着替えてもらわないと」
ぱん、と手をたたいて真澄は言う。
「え?」
「せ、い、ふ、く!ここがどこだか分かってる?」
「……漠然と」
「私立白銀学院」
呆れた風に真澄が肩を落とす。
「そうか、まだレクリエーションもしてないんだ。何の説明もされてないんだね。全校が、すごい潜在能力をもった転校生に、興味津々なのに」
雪は目を見開いた。
「転校生?!」
「そう。君は今日付けで私立白銀学院中等部3年B組の生徒だよ。お母さんは事情を分かっていたようだったと聞いたけど」
母さんが?雪は目をまるくした。事情とは何だろう。―…会いに来てはくれないのだろうか。
学校だって、修学旅行の最中に生徒が5人も消えて、大騒ぎだったのではないか。
様々な考えが、いまさら津波のように押し寄せる。
「この学園は、究極の一芸入学学校なんだ」
脳裏に様々な形が浮かんでは消える。博物館、海、銀の狒狒、身体が羽でおおわれた女―…。
「あとで詳しい説明があると思うから、僕からは簡単にしか言わない」
―そうだ。こんなに和やかであって良いはずがないのだ。
私は、何故、ここにいる。悪夢は終わっていないだろう。
「この学校は、選ばれたもののための学校。訓練所」
「神々の生まれ変わりのための学校なんだよ」
`
最初のコメントを投稿しよう!