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雪は渡された制服にそでを通していた。真澄は、おとなしくカーテンの外で待っている。
おろしたての制服は、ぱしっとしていて少し着心地が悪い。目に痛いほど真っ白なブレザー。紺のプリーツスカートは少し長かった。
Yシャツのボタンを留めながらさっきの会話を思い出し、自嘲の笑みをうかべる。
「神?」
大真面目に彼はうなずいた。
「そう。世界中の、やおよろずの神々は存在する。彼らは、ただの空想では無いんだよ」
赤銅色の瞳が、まっすぐにみつめる。
「君はここに来るまで、沢山の妖魔に追われた」
雪はうなずく。
「それは君が神の生まれ変わりだから」
ぞくり、と興奮にも似た震えが走った。心臓が警鐘のように早鐘を打つ。
「だから僕たちは、こうしてここで生きるための術を学んでる。転生者は、前世で妖魔を倒してきた。だから現世でもかたきとして、妖魔達は転生者の命をねらう」
彼は右手の親指で、とん、と自分の胸を突いた。丁度、心臓のあたりだろうか。
「―…さあ、それだけひとまず頭に入れて、制服に着替えて。そうしたら先生の所に行こう。もっと詳しくて分かりやすい説明がまってるよ」
リボンとネクタイの二つからリボンを選んで、さらに四つあるデザインから赤のチェックを手に取る。白に紺のシンプルなデザインに、鮮やかな赤は良くはえた。
「真澄、もういいよ」
カーテンを開けて外に出る。彼は隣のベッドに腰掛け、枕を抱いて待っていた。
「―…少し丈が長いみたいだね。それ以外はよく似合ってる。雪は趣味もいいな」
つま先から頭のてっぺんまで眺められては、少し居心地の悪さを感じながら赤くなった。
「じゃあ、行くか」
言って真澄は手を差し出す。意味を理解しかねて、雪は目を点にした。
「えっと―…?」
彼はまた困ったように耳をかく。
「手!まだ危ないだろ。転んだらどうすんの」
確かに、病み上がりで足元はおぼつかない。たまに目眩がすることもあるが、初対面の美少年と手をつないで歩くなんて。
雪は首を横にふった。
「いいよっ」
しかし彼は笑う。
「嫌かもしんないけど、我慢してくれよ。俺、歩く万能薬みたいなもんなんだ。男の俺が雪の看病係りになったのも、単に弥生達と仲がいいからじゃないんだぜ」
そんな意味深いことを言って、有無をいわさず手をつかまれる。
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