第二章

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 「世界には沢山神話があるのはほんと。でも、生まれ変わって、新しく生を受ける国はランダムだ。そこらへんは、普通の人と変わらない―…」  雪は目を見開いた。真澄と手をつないでいるからなのか、不思議ともう目眩はしない。  「人も生まれ変われるの?」  「そりゃそうだな」  返答はあっさりしている。  「俺らが人と違うところは、前世の記憶を持ち越していることと、それぞれの神の能力をもっていること。あとは、おなかを空かせた妖魔に、一生狙われ続けることかな」  この階は、人影が極端に少なかった。静かで、厳か。  もう一つ、考えていることがある。今の自分にとって、おそらく一番重要なこと。  「もう一つきいていい?」  真澄は振り返って、どうぞ、と赤銅色の瞳で促した。  「じゃあ、あたしは誰なの?記憶なんかない…能力も。あたしは、どの世界の、どの神様の生まれ変わりなわけ?」  真澄は、いっそう高らかに笑った。  「それはね」  彼は、目をすがめて笑った。  「全校中が君に訊きたがっている質問だよ」
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