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釈然としないまま考えをまとめていると、今度は真澄が不思議そうな声を出した。
「なんか、不思議だな、雪は」
「どうして?」
「普通もっと、取り乱すんだよ、みんな。記憶があるって言っても、初めから全部を覚えてる訳でもないからさ」
そうなのか、と思った。では自分も、そのうちに前世の記憶を思い出すのだろうか。
真澄は心底不思議そうな顔をする。
「で、雪は記憶も無いのに、こんな―…意味わかんない話を聞かされてもしれっとしてるんだもんな」
そう言えば、と雪自身思う。きっと、度重なる化け物の襲来に、何かが壊れてしまったのかもしれない。
そんなことを思い、自嘲とも言える笑みをこぼした。
赤銅色の瞳が語る。
「記憶があったとしても、かなり力の強い神じゃないと、断片的にしか思い出せないしね。弥生みたいに何千年分もの記憶があったとしたら、普通の人間なら脳がパンクしちゃうさ」
ああ、と雪はひとりごちた。
「じゃあ、弥生はかなり強い神さまなんだね」
真澄はうなずく。
「そう言うことだな。どの神だか、聞いてない?」
雪は首をよこにふる。
「あとで聞いてみたらいい。―…そこらへんも不思議なんだよな」
「え?」
「雪が弥生を呼び捨てで呼ぶの、あいつがそうしろって言ったの?」
「そうだけど、…あたしがそう呼んじゃ、不思議?」
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