287人が本棚に入れています
本棚に追加
/1292ページ
快感に悶える詫助だったが、それは唐突に中断された。
「えっ……」
クチュッと永級が唇を離し、詫助の首元と繋がった唾液の糸を手の甲で拭う。
「今日はここまでです」
永級はそう言って最後に噛んでいた詫助の首元をペロッと舐めた。
「今月のお仕事の特別功労金代わりです。これからも頑張ってくださいね、僕の願いも………」
「夜もね」と永級は頭の手拭いを下半身に巻いて露天風呂を出ていってしまった。
あとには、呆然と噛まれ舐められた首元に触る詫助だけが残った。
「な、なんだよ……お預けか? あ、あんな、ことまでしてお預けか!? あり得ないだろ! どうすんだよ勃ったまだよ!」
「がぁぁぁ」と湯船から立ち上がる詫助。
その際に頭の巻かずに乗せていた馴染みの手拭いが湯船に落ちる。
「遊ばれた! 子供に大の大人が遊ばれた! くぅぅ、遊ばれた上にその気になった自分が惨めになるぅ~」
拳を握りわなわなと震わす詫助。
彼はやり場のない思いを月に向かって吠えた。
そんな詫助を置いて先に浴衣に着替えた永級。
唇を指でなぞりあの感触を思い出す。
悶える詫助。
それについ本気になりかけた永級。
単なる景気付けの色仕掛けだった。
前回もこれで引き込んだ……でも、自分はあの行為に夢中になっていた。
「遊び……だったのに……大神詫助……いや、彼は今やただの詫助か」
呟きながら永級自信が反応しているに気付いた。
浴衣の上からも分かるほどに……。
「情が移る……こんなの……初めて。……使い終わったら捨てる気だったのに……」
「困ったな」と永級は自身を隠すために、さらに着込み前を隠して自分の部屋に戻るのだった。
最初のコメントを投稿しよう!