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「いたぁ~?」と袖から手を出さずに頭に当てて、困ったような表情をする脱兎。
「言ったろ、何からも逃げるって。だから言動も全部疑問形なんだよ」
「さっすが詫先輩ぃ~? 兎くんのことを分かっていらっしゃるぅ~?」
手を袖から出さず揉み手をする脱兎は、詫助ににじり寄りニヤニヤする。
「いやぁ~詫先輩が大神忍者抜けちって兎くん寂しくて死んじまいそうでしたぁ~? でも木陰でお休みしていたら詫先輩が颯爽と歩いてきて、もぅ運命感じちゃいましたよぉ~?」
バッと腕を広げた脱兎が詫助の胴にしがみつく。
「うわぁぁぁ!! キモい! やめろ!!」
「はぁ~詫先輩、抜け忍になってもムッキムッキぃ~? 兎くんが女の子だったら惚れちゃいそうですよぉ~?」
詫助の胴に顔を擦り付ける脱兎に、鳥肌を立てて脱兎を引き剥がそうとする詫助。
「離れろぉー!」
「あはぁ~ん詫先輩、この感動の再会を兎くんと感じちゃいましょうよぉ~?」
「がぁぁぁぁ!! 着物の中に手を入れるなぁー!」
「軽いスキンシップですってぇ~? 詫先輩の体が現役と比べてぇ、どんなになったか兎くんが査定して━━」
と脱兎が詫助の着物の襟元から手を入れようとすると、詫助の後頭部に不気味な冷たく固い感触と共に不穏な雰囲気が漂ってきた。
「ふふふふ……ずいぶん楽しそうですね詫助氏……」
「さ、西将!? いや、これは━━」
「このまま楽しく兎と戯れて(たわむれて)いると良いのです……極楽浄土でね!」
「待て! 早まるな西将ぉぉ!!」
詫助が永級を止めようとするも抱き着く脱兎が邪魔で振り向けず、詫助に抱き着いた脱兎は永級の嫉妬の雰囲気を感じてか感じていないのか、「詫先輩ぃ~?」と抱き着いたままだった。
それを聞いた永級は最後に笑って銃の引き金を引いた。
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