卯月-船上の最強拳士-壱

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「あはははぁ~、過激な美人さんだなぁ~? 詫先輩でなかったら即死ぃでしたよ?」 「良いからお前は黙っていろ……頼むから」 隣を歩く脱兎に向かってうんざりしながら歩く詫助。 その腕には永級が座っていた。 いわゆるお姫様抱っこをしていた。 詫助の腕の中に納まった永級がしかめっ面で、詫助の腕に手を乗せてしっかり納まっていた。 「詫助氏、あまりそのウザ兎と話さないで下さい。顎から脳天に風穴が飽きますよ? ……確実に」 永級は六転式自動小銃の納まったポケットのある所を軽く叩く。 「妬きもち妬かれちったぁから?」と隣から聞こえるが、永級はおろか詫助も無視する。 「それにしても、西将。マジで銃ぶっ放す(ぱなす)なよ。あと一瞬、俺が動いているのが遅れてたら、マジで死んでたぞ」 「……謝罪するつもりはありません」 永級は腕を組んでプイッとそっぽを向いてしまう。 詫助はなぜか怒る永級と、隣を歩く脱兎に板挟みになりながらため息を着く。 永級が銃の引き金を引く直前、詫助は足を開いて体を落とし両手で落下の衝撃を吸収し、両腕を軸に足を回転させて永級の足を払い、銃口を反らし永級は足払いをされ、宙に浮いたのに気づく前に引き金を引いていた。 動作は多いが、詫助はこの動作を瞬き一回の内に行ってみせた。 その後宙(ちゅう)に浮いた永級を抱き寄せてる詫助。 それから永級の要望により現在の形になったのだった。 それから腕の中に納まった永級は、脱兎に明らかな軽蔑ともう一つの感情を向けていた。 そんな強烈な視線をさらりと避けながら、脱兎は粘り強く詫助の気を引こうとおだてにおだてていた。 「にぃしても詫先輩が大神忍者抜けてから音信不通ってたから、何をしてるかと思ったら美人さんのお守りかぁ~? あ~美人さん? あんまり目くじら立てないでくれよぉ~、もう内心心臓ばっくばくで脂汗だらだらだぜぇ?」 「……ウザいです。詫助氏とウザ兎とは話さないので、僕がウザ兎と話します」 「お前がそうさせたんだろ」と、詫助は心の内で呟きながら犬猿の二人の会話に耳を立てた。
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