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「あはははぁ~、過激な美人さんだなぁ~? 詫先輩でなかったら即死ぃでしたよ?」
「良いからお前は黙っていろ……頼むから」
隣を歩く脱兎に向かってうんざりしながら歩く詫助。
その腕には永級が座っていた。
いわゆるお姫様抱っこをしていた。
詫助の腕の中に納まった永級がしかめっ面で、詫助の腕に手を乗せてしっかり納まっていた。
「詫助氏、あまりそのウザ兎と話さないで下さい。顎から脳天に風穴が飽きますよ? ……確実に」
永級は六転式自動小銃の納まったポケットのある所を軽く叩く。
「妬きもち妬かれちったぁから?」と隣から聞こえるが、永級はおろか詫助も無視する。
「それにしても、西将。マジで銃ぶっ放す(ぱなす)なよ。あと一瞬、俺が動いているのが遅れてたら、マジで死んでたぞ」
「……謝罪するつもりはありません」
永級は腕を組んでプイッとそっぽを向いてしまう。
詫助はなぜか怒る永級と、隣を歩く脱兎に板挟みになりながらため息を着く。
永級が銃の引き金を引く直前、詫助は足を開いて体を落とし両手で落下の衝撃を吸収し、両腕を軸に足を回転させて永級の足を払い、銃口を反らし永級は足払いをされ、宙に浮いたのに気づく前に引き金を引いていた。
動作は多いが、詫助はこの動作を瞬き一回の内に行ってみせた。
その後宙(ちゅう)に浮いた永級を抱き寄せてる詫助。
それから永級の要望により現在の形になったのだった。
それから腕の中に納まった永級は、脱兎に明らかな軽蔑ともう一つの感情を向けていた。
そんな強烈な視線をさらりと避けながら、脱兎は粘り強く詫助の気を引こうとおだてにおだてていた。
「にぃしても詫先輩が大神忍者抜けてから音信不通ってたから、何をしてるかと思ったら美人さんのお守りかぁ~? あ~美人さん? あんまり目くじら立てないでくれよぉ~、もう内心心臓ばっくばくで脂汗だらだらだぜぇ?」
「……ウザいです。詫助氏とウザ兎とは話さないので、僕がウザ兎と話します」
「お前がそうさせたんだろ」と、詫助は心の内で呟きながら犬猿の二人の会話に耳を立てた。
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