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東西戦争から十数年……。
大和國の首都、大阪に洋装の少年大商人が現れた。
彼は城下町の飲み屋に居た元忍び詫助(わびすけ)を訪ねた。
彼は元忍び、現在殺し屋をしている詫助に依頼をした。
「十二人の殺しを手伝って欲しい」
詫助は耳を傾けない。
「一ヶ月に一人の殺しを手伝って欲しい」
詫助は目も向けない。
「殺したいのは大和國と大安國の政府要人だ」
詫助は手に持った杯を止めた。
「代金は十二ヶ月後、十二人、僕が殺し終えたら一括で払う」
詫助は少年永級西将(ながしな さいしょう)を見た。
永級の格好と表情を見て、話を切り出した。
「頭金と信頼? 頭金は無い、君には僕を信頼だけしていれば良い。金が信用だって? あんな金属片に信頼性は無い。君には僕の身体を与えよう、要するに僕を君の慰み者にしてくれたら良いんだ」
詫助は永級の言葉に手にしていた杯を落とした。
こうして一人の抜け忍と洋装の少年大商人の旧日本國殺戮道記が始まった。
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