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夜空を見上げ、歩く帰り道。 耳にはイヤホン、なんとなく借りた流行りの曲がなんとなく流れている。 今日みたいに凍えそうに寒い日に、似合いの失恋の歌。 幸せだったあの日を思い出しては胸を痛め、出来るならばあの日に帰りたいと今でもあなたのぬくもり探す… そもそもあたしにそんな経験はない。この曲に共感できるわけもない。 ただ頭で考えただけの感情は実感とは到底比較出来ないだろう。 新入社員として入社して初めての冬がやってきて、去年と違うのは少し大人びた手袋とファーのあしらわれたコート。 自分で稼いだ給料で自分へのささやかな冬の贈り物。 「今年のクリスマスは本当に1人かぁ~…」 白い煙のような息を吐き出しつぶやく。 学生時代は女の子独り者同士集まって、ケーキに缶チューハイにお菓子、フライドチキン…そして止まらぬガールズトーク。 そんな仲間たちにも新しい生活というのができたらしい。理由は様々。 妻にママ、仕事にデート… 同じラインに立っていたのに、いつしか置いていかれてしまったようだ。 でも焦るかと言われれば、不思議とそういうわけでもない。 ――幸せは自分の心が決めるんだから。
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