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階段を登りきり、鍵の掛かっていないドアを開けると、澄んだ青空が広がっていた。 初夏を匂わす風は、じんわり首筋に浮かぶ汗を蒸発させる手助けをする。 案の定、屋上には私たち二人以外、誰もいなかった。 私は柵までスタスタと歩き、町並みを見下ろす。 「・・・・・・・・・・・・・。」 そろそろ朱峰さんが口を開くかと思いきや、屋上の入り口付近に立ち止まったまま俯いている。 イジメの呼び出しじゃなかったし、どうやら前者だったみたい。って事で、余程言い難い事なのだろうし少し待ってみよう、と少し空を仰ぎ見る。 ドン! と、衝撃がきたのはそんな時だった。 最初は訳が分からず目を白黒させていたが、朱峰さんが抱きついてきたと理解した時には、柔らかいもので口を塞がれて、もっと目を白黒させたのだった。 あまりの不意打ちのせいで、引き剥がす事も忘れ、ただただこの状況を理解しようと立ち尽くすのだった。 .
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