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「…馬鹿だな、ほんと……」
彰を抱きしめたままその場にへたり込む。肩越しの目線の先に、彰の自転車がきちんと止めてある。
恐らく途中までは確実に自転車で来て買い物をし、出て来たところで俺の姿が見えたもんだから慌てて走り寄って来た、というところか。
「…立てるか?」
「…無理…だっ…」
出て来た店の店主らしき男が迷惑そうに自転車を道端に退かしている。
「……ほら。」
このままではどうにもならない、とりあえず彰を背負って豆腐屋まで歩いていくことにした。
しゃがんだ体勢で彰に背中を掴ませ引き上げると、ずっしりと力の抜けた彰の体重がのしかかる。
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