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街の中心にある大きな広場。さすがクリスマス、若者のカップルがたむろしている。
せっかくですので、買うものを決める時間が欲しいので噴水の周りに接しているベンチに腰掛でも掛けますか。
見渡すと綺麗に飾られているイルミネーションが多々あり、ふと子どもの頃を思い出す。
あの時は家族みんなでケーキの取り合いをしたものだ。でも今はこの有様。少し涙ぐんでくる。
とか言っていると、
「おかあさーん!」
グスッ、グスッと小さな男の子が泣いていた。どうやら母親とはぐれてしまったらしい。
「どうしたのですか?」
「おかあさんがいなくなっちゃった。どうしよう」
泣きながらも何とか聞き取れる声で言ってきた。
こうなれば、探してあげましょう。まだ少し時間に余裕がありますし。
「私が探してあげますから心配しないでください。で、どこではぐれたのですか?」
男の子は少し落ち着いたようだ。
「ここで座っていたら、いなくなっちゃった。」
「はい? と言う事は・・・」
後を振り向くと一人の女性が棒立ちしていた。
そして、
「キャー! 誰かー、誘拐よー!」
一瞬辺りが静まり返って、すぐに叫びだす女性。
必死に首と手を振り否定するが。
狂喜に満ちている女性は止まることを知らず、携帯電話を取り出した。
「おかあさーん! やっと会えた。どこにいたの?」
どうやらその女性は、さっきはぐれていた男の子の母親だったらしい。
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