『見付けた日』

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「闇鴉!!」 大声を出しながら部屋に入ってきた勒七に、煙管を投げ付けた闇鴉。 「師匠って呼びな」 痛いと呟く勒七は、初めて会った時とは別人だった。 一人称を『わっち』に変え、額髪を伸ばした。 そして何より変わったのは、生きようとする意志。 初めて会ったあの日から、一ヶ月が経っていた。 ーーーーーー ーーーー 「闇鴉…さん…あの、その……」 あの日、部屋を出ていった闇鴉を追いかけた勒七。 「……ごめんなさい」 「何に対して謝っているんだい?」 間髪を容れずに飛んできた言葉に、勒七は息を張った。 「俺…死んでも良いと思っていた。刀を持つことにも抵抗はなかった。 でも、刀を渡されて、自分が其れで死ぬかもしれないと考えたら、刀が冷たくて…重くて……恐かった!! 死んでも変わらないなんて言ってごめんなさい!!もう言わないから……だから!!」 「此処に居させて下さい!!」 泣きながらも、決して目を逸らさなかった勒七を、闇鴉はそっと抱き締めた。 「刀はね……誰かを傷付ける道具なんだ。其の事をしっかり覚えておきな。 でも恐がる必要はないよ。 刀は……侍の魂でもあるのだから」 「侍の……魂…?」 「これから自分で見付けな。己の魂を、己の道を、刀を持つ意味を。 決して輝きを失わない侍の魂を」 ーーーー ーーーーーー 「師匠、どうかしたの?」 どうやらぼうっとしていたようで、勒七に覗きこまれたことにより我に返った。 「何でもないよ」 そう言って勒七の額を軽く小突いた闇鴉の表情は、穏やかだった。 .
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