第一章~マリア~

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――これが『死』……か……。 思ったよりもあっさりしたものじゃのう…。 あっさりしたもの……と言うより、『死後』であるという感覚すらないのだ。 生前とまるで変わらぬ、むしろ身体が軽く身体中の筋肉が活性化しているような……そんな気すらする。 「ヴァン・ホーク……か。私は大天宮に仕える天使、名はジェイドだ。よろしくな、ヴァン。」 そう言って金髪の天使……ジェイドはヴァンに握手を求める。 ヴァンは少々戸惑いながらも、その手を握り返そうと腕を挙げた。 「……んん?」 やはり何かがおかしい。 先程も感じたことではあるが、妙に身体が軽いのだ。 現に、握手を返そうと思って差し出した手は、ジェイドの手を通り過ぎ妙に高々と掲げられている。 ヴァンはもう片方の手で自分の頬を触った。 しわ1つなく弾力性のある肌。 年老い72歳で命を落とした老人の肌が、こんなに若々しいはずがない。 手を差し伸べたまま、握り返してもらえず若干不服そうなジェイドは、そんな様子を眺めながら、無言でヴァンに鏡を差し出した。 「……すまぬ。」 その鏡を受け取り覗き込んだ時、ヴァンは再び絶句することになる。
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